外反母趾ってどういうこと
コラムリレー 第6回/全23回
公開日:2026/01/14
「最近親指の付け根が出っ張ってきたな……」
「外反母趾だと思うんだけど、どうしたらいいのかしら?」
あなたも含め身の回りでそんな悩みを聞くことはありませんか?
外反母趾は非常に多い病気です。
もちろん長年狭い靴の中で親指が外側に押され続けるのも一つの原因です。しかし、それに加えて遺伝的な要素やアーチの低下、ホルモンや怪我による靭帯のゆるみ、関節の柔らかさ、アキレス腱の硬さなど様々な要素が原因になるのです。
それでは外反母趾が悪化するとどうなってしまうのでしょうか?
初期の外反母趾では長く歩いた時の親指の付け根や靴に当たるところが痛くなります。靴選びが難しくなる方もいるでしょう。
進行してくるとますます変形が強くなります。履ける靴はますます減って幅広の靴しか買えなくなるでしょう。足底に痛いタコが出来はじめ、親指が隣の指に当たって傷を作ったり、指がクロスしたり、と別のトラブルも起こり始めます。手で引っ張れば伸ばすことができた親指も、徐々に硬くなって戻らなくなってしまいます。
親指がうまく使えずに2番目の指の負担が増えることで、さらに変形が進むことも。そうなると指が跳ね上がって交差したまま動かせなくなり、ますます履ける靴がなくなってしまいます。
たかが外反母趾と思うなかれ、意外と放置していると進行する、怖い病気なんです。
もちろん軽症のうちはテーピングや運動、サポーターやソックスなどである程度症状を抑えることが可能です。しかし痛みや変形が改善しないようであれば早めに病院にご相談下さい。保険診療での手術もひとつの治療の選択肢です。
「近所の人が手術して何か月も歩けなかったって聞いているので手術は怖くって……」と不安に思う方もいるかもしれません。しかし、実は外反母趾の手術はたくさんあり、軽症か重症か、症状や術者によって手術方法も治療期間も異なります。確かにかつては外反母趾の手術は長い入院期間が必要でしたが、手術に使うスクリューやプレートの軽量化や手術道具の進化により、術後の回復も早くなっています。
長年放置して変形が進んでしまうと、はだしで歩くのも痛くなり、足が入る靴を探すのも一苦労。そんな足では歩くのがイヤになって外に出たくなくなってしまう方も。「これぐらいならまだ大丈夫」と放置しておいて、変形が進んでから手術を受けようとしても、手術の難易度も上がり入院期間が長くなってしまうのです。早期に治療をすれば治療が簡単で済むのに、進行すると治療が大変になってしまう、これは外反母趾も他の病気と同じです。
「こんな足で今から手術すると歩けなくなっちゃうんじゃないの?」と心配される方もいるかもしれませんが、治療に遅すぎるということはありません。足の変形をしっかり治すだけでなく、術後の歩行リハビリや靴やインソールの作成を含めトータルに治療することで、自分の足で歩き続ける人生を取り戻すことができるでしょう。
未来の自分を想像してみてください。あなたの足はきれいでしょうか? 靴はちゃんと履けているでしょうか? 元気に歩き続けるためには、若いうちからチェックして足のトラブルを未然に防ぐこと、そしてトラブルが発生したら正しく治療することが大切です。

文責:菊池 守